遠野家コン・ゲーム2

〜史上最大最悪最狂の死亡遊戯〜

原案
 キクロウ 執筆 鋼

 

 

後半戦逝ってみよう♪

 





志貴「・・・・・ハッ」

一体俺はどのくらい、倒れていたんだろうか。

琥珀さんの小悪魔的な声が聞こえたのは気のせいか

それはいいとして(オイ!)

こんな事をしている暇は無い。

メンツがメンツだけに、一刻も早く移動しなくては。

俺は急いでベッドから飛び起き、窓から外に飛び出る。

その瞬間。



ズゴォォォン・・・・パラパラ

と、俺が居た塔が木っ端微塵に破壊された。

間一髪。

まるでミサイルでもつっこんできたように、盛大な爆発音と共に瓦礫の山となってしまった。





志貴「オイオイ」

いくら何でも、やりすぎじゃないだろうか?

俺は近くの木に隠れ、瓦礫の山を確認する。



ズガァァァン・・・・サラサラ

すると瓦礫の山が大きな音と共に、更に木っ端微塵に破壊された。

一瞬で沢山有った大きな瓦礫の山が、細かな砂になった。

そこに立っていたのは、乾夫妻だった。



志貴「よく・・・・生きてたな」









有彦「清藍さん、大丈夫っスか?怪我は?」

清藍「ありがとう、有彦君。有彦君が守ってくれたお陰で、怪我はないわ」

有彦「ハァ〜、良かった」

清藍「それよりこれ、いいのかしら」

愛彦「大丈夫大丈夫、なあ志貴?」

俺は名前を呼ばれ、木から姿を出す。





志貴「何で、分かったんだ?」

有彦
「臭い」

志貴「・・・・・・」

有彦「・・・・・・」

志貴「・・・・・・」

有彦「・・・・・・冗談だ」

俺が殺そうかと思って眼鏡を取ろうとすると、乾夫妻の後ろから一人の女性が現れた。

それはピエー・・・もとい、シエル先輩がだった。

何故か半笑いで、走ってこっちに来る。






志貴「(ヤバッ)じゃあな、有彦に清藍ウん。俺は邪魔みたいだから消えるよ」

愛彦「そうかそうか、さすが志貴だ。じゃあな、捕まるなよ」

その前に、お前が先に捕まるっちゅうねん。





清藍「じゃあね、志貴君」

俺は乾夫妻に別れを告げて、猛ダッシュでその場から移動した。

その時後ろからは、「覚えてろ〜」とかいう声が聞こえた。

が、当然の如く無視。









乾夫妻 捕獲

――――――残り六人









志貴「危なかった、もう少しで捕まる所だった」

俺は、後ろを振り返る。

すると壊れた塔の前に青神がいて、青神が光を放った。

光が消えた時には、壊れていた塔が元通りに『蘇生』した。





志貴「何でもありかよ!」

う〜ん、何てナイスなツッコミ。





・・・・その時俺は最悪な、方程式が浮かんだ。

『先生&有彦が破壊し回り→橙子さんの使い魔でメンバーを発見→壊した物全てを青神が蘇生→生き返ったメンバーをタッチ』

という、あまりにも恐ろしい方程式。

最悪だ。

・・・・・・逃げよう。

それしかない、『ニゲロニゲロ』だ。





俺は青神に見つかる前に木から木へ飛び移り、離れの屋根に着地する。

すると屋根には、呑気に日向ぼっこをしているレンがいた。

他の多数の猫と一緒に、うまく紛れ込んでいる。

なるほど、或る意味でいい戦略だ。

『木を隠すには森の中、猫を隠すなら猫の群れの中』

しかし一つ解せない事がある。

気持ちよく寝ている猫に混じって、何故かメレムも寝ている!!

冒頭で語った俺の夢を、実行しやがって〜!!!

くそっ、なんて羨ましい。

今度会った時は、殺してやる。

そんな事を思いつつ俺はメレムを起こす事にした。





志貴「なに寝てんだよ!!」

と声を押し殺しながら、俺はメレムに怒鳴る。

だけど、起きたのはレンだけだった(少しプンプン状態)

メレムは熟睡したままだ。





志貴「なめてる、この死に至るゲームをなめきってやがる」

ゲームじゃなかったら俺が殺してやるのに。

アルクェイドにもストーカーしてるしな、コイツ。

アルクェイドは俺の物だ!!

今はそんな場合ではないので、俺はとりあえずメレムをほっといて、レンを肩に乗せて離れの屋根から別の場所へ移動する。

行き先は屋敷の屋根。



俺が移動している間、イヤホンからノイズが聞こえた。









弓塚「そういえば、私ここで捕まったのよね」

私は前回を思い出す。

でも、今回は大丈夫。

ちゃんと秘策があるから。





四季「そうだ」

弓塚「あ、またこの展開!?」

四季「ククッ残念だったな。・・・動く「枯渇庭園!!」・・・パクパク(声が出ねぇ)」

私は固有結界を発動して、ノドを枯らした。



弓塚「危ない危ない。どう驚いたでしょ?今回は絶対志貴君が欲しいから捕まらないんだから、じゃあね」

四季「(俺もシキだっつーの)」

私は固有結界を発動して、ノドを枯らした。

その隙に外に出ようと窓から飛び出す。が、

その瞬間―――――。





橙子「出ろ」

傍らの匣から怪物が出てきて、茨のような触手で私は捉えられて、待ち伏せしていた橙子さんにタッチされた。



弓塚「こんな扱い酷いよ〜」

橙子「殺されなかっただけでも、ありがたく思え」

弓塚「ふぇ〜ん。助けてよ〜、志貴君〜〜〜〜」

(ゴメン無理。死にたくない by志貴)









弓塚さつき 捕獲

――――――残り五人









志貴「おしかったね、さっちん」

何時か良い事あるよ。と付け加え、俺は屋敷の屋根に着地する。

そこには予想通り、寝こけているお姫様の姿があった。





この姿をメレムが見たら、どうなるんだろ?

変な行動とったら、俺が殺すけどな。

そんな事を考えつつ俺はレンを肩から降ろし、アルクェイドに近づく。



志貴「オイ、アルクェイド起きろ」

アルク「ん〜?・・・・志貴?」

志貴「ああ」

アルクェイドは俺の姿を確認すると、抱きついてきた。

何て嬉し・・・ちがうちがう。





志貴「何すんだよっ!」

アルク「一緒に寝よ?」

えへへ〜、と笑うアルクェイド。

クソッ、こんな時じゃなかったらじっくり堪能してるのに。

レンも居なかったら、と付け加えておく。





志貴「そんな場合じゃないんだよ!協力しないと捕まるぞ」

アルク「いいよ」

志貴「あっさりだな」

アルク「だって志貴だもん」

志貴「じゃ、じゃあ行くぞ」

本当こんな時じゃなかったら、いくとこまでいっているかも知れない。

俺は照れながらレンを肩に乗せて、足早に離れの屋根へと急いだ。





志貴「まだ寝てやがる」

屋根の上には、まだ熟睡中のメレムが居た。

他のネコ達はいつの間にかいなくなっていた。





志貴「オイ、メレム起きろ!お〜き〜ろ〜」

首をガクガク揺する。

だが、いくら揺すってもさっぱり起きない。

やはりここは、奥の手を使うしかないようだ。





志貴「アルクェイド」

アルク「何?」

俺はアルクェイドに耳打ちをする。





アルク「それを言えばいいのね?」

志貴「ああ」

アルク「メレム、お・き・て」

メレム
「はいぃぃぃ、姫様おはようございます」

アルクェイドの声でメレムは、神速の速さで飛び起きた。

そして、ペコリとアルクェイドにお辞儀をする。





志貴「やっと起きたか」

メレム「ん?何か用かい?」

志貴「ああ、協力して欲しい」

メレム「それは、何故?」

志貴「相手は人類史上最大の破壊魔二人だ」

メレム「それは、ちょっとキツイね」

志貴「だろ?だから、協力して欲しい」

メレム「ん〜、でもねぇ・・・」

中々決めないメレムに俺は、切り札を出す事にした。





志貴「アルクェイドも一緒だぞ」

メレム「ハッハッハ、僕にまかせておくれよ」

すると、一瞬で承諾した。

なんて―――――単純。



志貴「後は、シオンか」



シオンを探そうとした時、ノイズがはしった。









シオン「ここなら、鬼が来る確立は低いですね」

私は途中から地下に逃げ込み、潜んでいた。

何やら、
『四季専用抱き枕(秋葉)』というのがあった。

しかし、私は無視をしておいた。

勝手に人様の物を触ってはいけないからだ。





シオン「さて、これから如何すべきか」

私の目の前にはちょうど、椅子があったから座る事にした。





シオン「・・・・ん?あれは・・・リンゴ?何故こんな所に」

何の変哲も無い、至って普通のリンゴが落ちていた。

巨大化したり、粘土で出来ているリンゴではない(まん○より ←伏字の意味ねぇ〜)

私はリンゴを拾い上げた。

―――――その瞬間。





地面に仕掛けてあった網が、シオンを包むように発動した。

シオンは咄嗟にエーテライトで網を切り、罠を回避するが次から次へと罠が発動する。

合計27の罠が一度に・・いや連鎖的に発動する。

連鎖はバヨエ〜ン以上だ。

それを食らっては、たまったもんじゃない。

あっという間にゲームオーバだ。

そんな罠を食らったシオンは、ゲームオーバーの代わりに自動的に居間に打ち上げられた。

その格好はワイヤーが足を縛り、さかさまにぶら下がるような格好だった。

シオンファンでなくても、是非とも見たい光景だろう。

俺も見たい!!





シオンが捕まった敗因は、琥珀の聖地に踏み入れ琥珀印の罠を発動させてしまった事。

こればかりはさすがのシオンも予測できなかった。

これが予測できたなら、琥珀さんも真っ青だ。









シオン 捕獲

――――――残り四人









志貴「なんてこった」

残りは俺、アルクェイド、メレム、レンの四人。

残り時間は、繹齊條ヤ。





志貴「ん?」

アルク「どうしたの、志貴?」

志貴「監視用の精霊が消えたよな」

アルク「ほんとだ」

俺はふと空を見上げる。

雲ひとつ無い晴天だったのに、少し暗くなっている。

そして何時の間にか雲があった。しかも雷雲が!

こんな無茶な真似ができるのは、アルクェイド以外にはアイツしかいない。





そう思った瞬間 いきなり近くの木に雷が落ちた。

木は真っ二つに裂かれ、燃えている。

そして遠くから「こっちに落ちたぞー」という声と共に複数の足音が聞こえてきた。

どうやら監視するのではなく、今度は居るところに雷を落とす作戦らしい。

ちょうどいい狼煙も上がってるようだ。





志貴「逃げるぞ」

アルク「そうね」

俺たちは、急いで逃げる。

メレムとアルクは屋敷の裏庭に逃げた様だ。

俺とレンは林に逃げ込む。





適当な木に隠れる俺とレン。

気配を絶って辺りの様子を伺っていると、屋敷の方向から大きな爆発音が聞こえてきた。









メレム「(ああ、姫と一緒に逃避行出来るなんて。もう僕死んでもいいよ)」

何やらトリップしている、メレム。

そんな事で、死んでいいのか?





アルク「ここまで、逃げれば安全ね」

ところがどっこい、世の中そんなに甘くない。

アルクェイドとメレムは不幸にも『琥珀の毒草(独創)菜園』に足を踏み込んでしまったのだ。





アルク「何よこれ!?」

巨大化した食虫植物や、品種改良された攻撃性の高いオジギ草に襲われる。





メレム「行け『大狼』君に決めた!」

何やらポケ○ン風に言うメレム。

彼の中ではマイブームの様だ。

一つ思うのは、いちいち叫ばないでさっさと投げろという事だ。



そんなこんなで、ギリギリのところをメレムの魔獣が草を噛み切り難を逃れる。

しかしその騒ぎで、青子とシエル(第7聖典装備)という滅多に見れない組み合わせが駆けつけて来た。





青子「見つけたわよ、お姫様」

シエル「ついに、見つけましたよ。メレム!!」

青子・シエル
「「死になさい」」

やってくるなり壮絶な戦闘が開始された・・・・・。

彼女らの中には『タッチ』という言葉が無いようだ。





青子「志貴は私が先につばをつけたのよ!!」

アルク「志貴は私の『物』なの!!!」

いう事が低レベルな割には、物騒なものをぶっ放す青子。

アルクェイドも、まけじと対抗している。

かたや、一方では。





シエル
「フフフフフ、死になさいメレム」

半笑いしながら、やたらめったら打ちまくるシエル。



メレム「第七聖典乱射してくるけど、何か僕に恨みでもあるのかい?」

シエル「ええ、ありまくりです。いいから死になさい」

シエルは日ごろの恨みを晴らすかのごとく、盛大にぶっ放す。





メレム「ああっもう、これでもくらえ!!」

メレムは空に巨大な鯨を放った。

・・・・・
自分の上に。

自分ごと押し潰すらしい。





青子「甘い!!」

青子は対空ミサイルランチャーをどこからか取り出し、鯨を撃破した。

が、青子の攻撃に巻き込まれたアルクェイドとシエルが大激怒。

アルクェイドは瞳を金色にして、空想具現化を。

シエルは第七聖典で青子を攻撃しだした。

青子はいろいろと、物騒な重火器を取り出しぶっ放す!!

まるで、世界大戦だ!!

地形がどんどん変わっていく。





そんな中メレムはアルクェイドを守るように立ちはだかり、大狼を放つ。

が、急にメレムは苦しみ始め、悶え喉を抑えながら泡を吹きながら気絶した。

その原因は大狼に食わせた草が、とてつもなく毒性があるもので魔獣を伝えメレムにも毒が伝わった。

結果、メレムは泡を吹き気絶した。





シエル「もらいましたっ!」

ここがチャンスといわんばかり、シエルは気絶しているメレムに憎しみを込めた黒鍵を突き刺してタッチした。





そんな事は知らず、アルクェイドは青子とワだ激戦を繰り広げている。

志貴「アルクェイド!!」

が、突然志貴が現れて、アルクェイドを後ろから抱き締めた。



アルク「え、え?志貴、なんでここに」

突然のことにアルクェイドは混乱する。





橙子「タッチだ」

その隙に、橙子がアルクェイドをタッチした。



アルク「どういう事?」

橙子「それは、偽者だ」

そう、アルクェイドを抱き締めてる志貴は、橙子が創った
『偽志貴君人形』だった。

実は女性陣(清藍除く)皆これを狙っていた。









アルクェイド・メレム 捕獲

――――――残り二人









志貴「ついに、俺とレンだけだね」

レン「にゃー」

――――――頑張るの





志貴「ありがと。でも、敵に回すと嫌な連中だよな」





――――『真祖の姫』





――――『闘神』





――――『蒼き巫女』





――――『第七位』





――――『ミス・ブルー』





――――『ミス・オレンジ』





――――『精霊の王』









――――
『ナイチチ』









――――
『シスコン』









――――
『マジカルアンバー』









――――
『ストーカー』









――――
『不幸の少女』













――――
『没落貴族』













何か、途中からおかしくないか?

――――大丈夫だ。

そうか、ならいいや。

――――そうしてくれ。





志貴「世界なんて簡単に征服出来るメンバーと、一人で戦うのか俺は?」

冷や汗が、だらだらと背筋を流れる。

二人が捕まると同時に、上空の雷雲がいっそうゴロゴロゴロゴロと鳴り響き何時でも落雷OKでヤンス!

みたいな状態だ。

しかも、精霊が沢山放たれて俺たちを探し回っている。





その時、突然木木がガサガサガサガサと揺れた。

俺の心臓がドクンと跳ねるように脈打ち、咄嗟にレンを抱え林から抜け出した。

瞬間――――。

――――『炎鬼』

という声と共に一瞬にして林が盛大に燃え出し、炎の海と化し数秒で林は焼け野原となってしまった。





志貴「メチャクチャしやがる・・・・」

嫌な汗が盛大に噴出して来た俺は、屋敷の屋根から焼け野原を見下ろす。





志貴「もう少し遅れていたら・・・・・」

一歩遅ければ『焼き志貴と焼きレン』の出来上がりだった。





「志貴はいねぇが〜」

「志貴は何所だ〜」

四季「出て来い、臆病者の優柔不断」

志貴
「四季・・・・後で殺す」

志貴がさっきまで居た林には、ゾロゾロとナマハゲよろしく鬼たちが集まってきている。

皆『志貴狩り』のために。

そして鬼による『志貴狩り』が始まった。





俺は屋敷の屋根でとりあえず心を落ち着かせ、残り30分をどう動くかを考える。

今回はコンゲームというよりは、コンゴンゲームといったようだ(騙しと力)

逃げ切れば勝ちだが、その前に死にそうな予感が頭をよぎる。

琥珀さんに捕まるか、兵達に捕まるか・・・・・ある種生死を賭けた命題。





「何かやだな・・・・」

ゲームで殺し合いなど、バトルロワイ○ルで十分だ!!

・・・でも、俺たちのメンバーで実際行なったらどうなるんだろう?

みんな死ぬのかな?





等と俺が考えていると、後ろからトンという足音が聞こえた。

俺は音がした方向を振り向く。

そこには、赤髪の有彦が仁王立ちしていた。

有彦の手には、獲物が握られている。





志貴「ヤル気か?」

有彦「お前しだいだ」

俺はレンを下ろし、瞬時に七ッ夜と虹を抜き構える。



有彦「おニなしく俺につかまれよ志貴」

志貴「お断りだ有彦」

有彦「なら、力ずくで行くぞ」

志貴「お前にできるか?」

有彦の目が、黒色から薄い金色に変わる。

俺は眼鏡を外し、蒼眼が顕にする。





有彦「腐れ縁にケリをつけようぜ志貴」

志貴「その愚行、冥府にて後悔するがいい有彦」

俺たちは屋根の上で、相手に向かって同時に駆け出す。

今、『殺人貴』対『闘神』の殺し合いが始まった。





カン、カン、ガン、ゴン、キーーーーン



屋根の上に甲高い音が響き渡る。

有彦「どうした?こんなものか?」

志貴「チィ」

七夜独特の動きもこの屋根の上という、壁もない場所では生かしきれない。

有彦は自己流の喧嘩殺法も混じらせて、体術では俺を凌駕する才能を持っている。



有彦が右手で、俺の点を突いてくる。

俺は左手の虹で下から上に振り抜き、有彦の刺月を弾く。

その隙をつき、俺は有彦の左から心臓の所にある点を突く。

有彦は瞬時にしゃがみ、俺の脚を止めるべく足の点を突いてくる。

俺はジャンプで有彦を飛び越える、その際有彦の首に走る線を右手の七つ夜でなぞる。

が、有彦はそれを右手の打鬼でガードする。

この間、わずか三秒の出来事。



志貴「少しは強くなったみたいだな」

有彦「お前もな」

一旦距離を取り、話しかける。

本来殺し合いでは会話などする暇があるのなら、相手を殺す事を優先しなければならない。

だがこの場合は、少し乱れた息を整える為にする。

有彦もそれが分かっている。

お互い息を整え、再び接近する。

何度目の交差か、お互い決め手に欠けなかなか勝負が着かない。

俺と有彦は先ほどから、拮抗した状態である。





突如有彦は獲物を一本収め、ポケットに手を突っ込んだ。

有彦「俺の取って置きの”召還術”を見せてやろう」

志貴「召還術?いったい何を」

フフフフフ、と不適な笑みを浮かべる有彦。





有彦「名付けて!!!」

『第七位ピエール召還!!』

志貴「なにぃぃ!!」

と、ちょっとこんな状況で乗るあたり、俺って友達思いかもしれない。

叫び声と共に有彦は、ポケットからなにやら茶色い物体を俺の斜め後ろに投げた。

投げたものは
『一日10個限定メシアンの揚げたてカレーパン』

という、ある人物にとって即死効果つきの一品だ。

投げられたカレーパンは、万有引力の法則に従い落下しはじめる。

そして、屋根に落ちようとしていた。





シエル
「カレ〜〜〜〜〜」

ッバ!!

が、どこからともなく、シエル先輩が華麗に登場し、カレーパンを見事キャッチし三回転して着地した。





志貴「マジで先輩を召還しやがった」

有彦「フフフフフ、大魔術師乾有彦様を舐めるなよ」

お前はいつから、魔術師になったんだよ。



俺は二対一と考えていたが、それは杞憂に終わった。

何故ならシエル先輩はカレーパンに集中し、有彦は当然の事俺にさえ気付いていない。

黙々と一心不乱にカレーパンを食べている。



志貴「呼んだ意味が無かったな」

有彦「チッ・・計算外だぜ」

いや俺には、当たり前だと思うが。





志貴「有彦、二つ聞きたい事があって一つ教えてやる事がある」

有彦「なんだ?」

志貴「俺とレンを逃がす気は?」

有彦「無い!」

即答かよ・・・・。





志貴「そうか・・・もう一つ、俺を殺したとして清藍さんは悲しまないのか?」

有彦「青神が居るから大丈夫!!」

志貴「・・・・わかった。最後だ・・・教えてやろう」

その時、カレーパンを食べ終えたシエル先輩が俺に気づき黒鍵を構える。

だが、既に遅い。

俺は屋根にある点を七つ夜で刺していた。









志貴「これが」









屋根は死に、崩れ始める。









志貴「物を殺すということだ」









俺は屋根を殺し、レンを抱え一瞬で地上に降りた。

屋根を殺されて、対応出来なかった有彦とシエル先輩はサのまま下の部屋に落下して、あえなくご臨終した。





のこり20分。





地上に降り立った俺はレンを抱え、どこか隠れる場所を探していると、今の音を聞きつけて続々と鬼がやってきた。

そして、林で多対一の戦闘が始まる。





或る者は、精霊を放ち。

或る者は、追跡型ミサイルを放ち。

また或る者は、空間の断層を具現化する。

俺は一人で、世界最強チームと闘う羽目になってしまった。

俺はレンを逃がし、虹と七ッ夜を取り出し構え、襲い掛かるモノを殺していく。

殺せど殺せど皆、青神の”蘇生”によって蘇りまた襲い掛かってくる。







青神「そろそろ、捕ったらどうだい?」

何でお前に捕まらなきゃいかんのだ。







青子「おとなしくしなさい、志貴」

本気なんですね・・・先生。







アルク「志貴、殺してあげる」

お前もかよ・・・。







シエル「フフフフフ、さっきはよくもやってくれましたね」

再生ハヤッ!?もう生き返ったんですか?







メレム「姫の為なら、君だって殺すよ」

その前に俺が殺してやるよ。人の夢を実現させやがって。







橙子「死んでもらおう」

いや、死んでもらおうって言われても・・・。







秋葉「兄さん、全て奪って差し上げます」

秋葉、自分が賞品じゃなかったら助けてくれないのかい?







四季「秋葉はお前にやらん」

お前も絶対に殺してやる。誰が臆病者だ!







弓塚「志貴くんの嘘つきーーー」

いいかげん忘れてくれ。





精霊、ミサイル、空想具現化、黒鍵、魔獣、使い魔、檻髪、血刀、固有結界。

色んなものが襲ってくる。

もう、めちゃくちゃだ。

何で俺が、殺されなくちゃいけないんだっ!





襲い掛かってくるものを俺が殺している間、心臓がドクンと強く跳ねた。

この衝動は、久しぶりだった。

そう、退魔衝動だ。

・・・・・・イヤ、この場合は殺人衝動か。

コ ロ セ





ヤバイ、七夜の血が反応を・・・・。

ドクンドクンと心臓が、強く速く跳ねる。

ス ベ テ ヲ コ ロ セ

抑える事ができ・・・な・・・い。





志貴「・・・・・・・死ね、愚か者どもが」

俺は殺人貴モードになってしまった。

あたりに、俺から放たれた殺気が充満して行く。

その殺気を受けて、今まで攻めて来た奴らがピタリと足を止めた。





アルク「ヤバッ、志貴が完全にキレちゃった」

シエル「どうするんですかっ!?今までの中で、最大の殺気じゃないですか!!」

青子「ちょっと、やりすぎたかしら?」

橙子「ふむ、これは私たちでは無理だな」

弓塚「ふぇ〜ん、怖いよ〜」

秋葉「あなたは、吸血鬼バージョンでしょう!何怖がってるんですか!!」

メレム「吸血鬼でも、さすがにあれはパスだよ」

青神「私が死んでは元も子もないので、パスだな」

四季「あきは〜、俺にまかせろ」

四季はヤル気満々で、志貴に向かっていく。





志貴「お前が一番か?」

四季「ああ」

志貴「じゃあ、死ね」

四季「やれるもんならやってみやがれ」

シキとシキの戦いが始まった。





俺は一足で四季の懐に入り、虹で四季の左肩の線をなぞる。

が、四季は血刀で虹を受け止める。

それを見て俺はすかさず、七つ夜で血刀の点を突き殺す。

直ぐに俺は飛び上がり虹で脳天から切り殺そうとする。

だが四季ももう片方の手で血刀を作りうまくガードする。

俺はバックステップで、一旦距離を取る為に離れる。





シエル「意外と彼もやりますね」

秋葉「ちょっとビックリしてます」

メレム「彼なら、よくて引き分けだろうね」

青神「甘いね君たち。七夜くんは本気じゃない」

アルク「確かに、志貴の本気はあれぐらいじゃない。多分さっきより上ね」

シエル「あれが、本気じゃないですって!?」

アルク「多分志Mの本気は私とマジにやりあえるぐらいだと思うわ。もしくは初代ロアレベル」

青神「そう、彼を本気で怒らしてはダメという事だ」

この二人は意外と息が合って、解説にピッタリだ!!





志貴「そろそろ死ね」

俺は状態を屈め、地面すれすれに動き低空で接近する。

そこへ四季が血刀で突き刺そうとしてくる。

それを見て、俺は直線の動きを横の動きに変えた。

直線の動きに慣れた四季には、急激な横の動きはかわせない。

俺は四季の左側から接近し、左胸にある点を七つ夜で突いた。





志貴「
極彩と散れ

四季「これで終わりかよ・・・・」

点を突いた後、俺は四季を十八分割にした。





アルク「うわっ、私の時より多いよあれ」

シエル「あれはほっといて、どうしましょう?対抗できる人います?」

手を挙げる事のできない、鬼一同。

そんな所へ、
一人の赤毛が流れ着いた。

別に桃の中に入っていた訳ではない。





有彦「あれ?どうかしたんスか?」

アルク「赤毛!!ちょうどいいところに」

有彦「へ?」

アルクェイドは有彦を、志貴に向かって押し出した。

当然事態を知らない有彦には、何がなんだか解らない。





志貴「邪魔だ」

有彦「おわっ」

有彦は、間一髪で志貴の攻撃を避ける。





有彦「てめ〜よくもやりやがったな」

事の事態に気づき、有彦も獲物を取り出す。

有彦の眼の色が金色に変わっていく。

本日二度目の『殺人貴』対『闘神』のバトルが始まった。





カン、カン、ガン、ゴン、キーーーーン



林に、再び甲高い音が響き渡る。

闘っている二人以外の人々は、遠くで観客と化している。





俺は一瞬で有彦の視界から姿を消して、後ろから胸の点を突く。

それを察知したのか、有彦はバク宙でかわす。

俺はすかさず前方へと跳ぶ。

さっきまで俺の頭があった所へ、有彦の一撃が繰り出されていた。

再び距離が三メートルぐらい離れる。





俺はコイツに関しては、手加減をすると死ぬと感じ取り本気を出す。

辺りにあった、俺の殺気が消える。

それを感じ取った有彦も、殺気を消す。





アルク「二人とも本気だよ」

秋葉「ですが、先ほどあった様な感じがしませんよ」

アルク「そうか妹は本当の殺し合いってものを知らないもんね」

秋葉「だから、妹じゃないと・・・」

アルク「それは後にして。いい?本来であれば殺気は内に秘め、外には洩らさないのが常道なの」

秋葉「それがどうかしたんですか?」

アルク「その殺気を妹みたいに洩らしてしまうのは、三流の証拠なの。意味がわかる?」

秋葉「あの二人は殺気を消したから、三流ではないという事ですか?」

アルク「そう。でも、一流でもあの二人みたいに完璧に殺気は消せない。私でも多分無理」

秋葉「という事は!?あの二人は」

アルク「あの二人の本気は、すくなくとも私レベルがそれ以上という事ね」

青子「たいした二人よね」

ウンウンと頷く、人外連中’S。

なんかのバンド名みたいだ。





俺たちが相手の様子を探っている時に、一際強い風が吹いた。

その風で、俺たちの間に一枚の落ち葉が落ちてくる。

落ち葉が地面に落ちた瞬間、俺たちは互いに走り出した。





キーーーーン

と、一瞬のすれ違い様に甲高い音が鳴り響く。





アルク「今の攻防、視えた人〜?」

その声に手を挙げた者は、シエルと吸血鬼の連中に魔法使いの三人。

その他の者には、影ぐらいしか見えていない。

因みに、シオン、清藍、琥珀は屋敷にいる。



秋葉「今何が起きたんですか?」

シエル「今はですね、志貴くんが左手の刀で袈裟斬りをしたんです」

秋葉「それで?」

アルク「それを赤毛が右手の武器で防いだ。その瞬間左手の武器で、おそらく志貴の点を突いた」

シエル「ですが、志貴くんは右手のナイフを逆手に持ち替えて受け流し、その反動で左手の刀で首を斬りつけた」

アルク「でも、赤毛も右手の武器を逆手に持ち替えてそれをガードした」

秋葉「それが、今の一瞬で起きたと?」

Aルク・シエル「「ええ」」

橙子「バケ物かあの二人は」

ある意味皆バケモノですけど・・・・・・・・。





再び打ち合う、『死神』と『闘神』。

永遠に続くかと思われた、殺し合いだったが結末は訪れた。

何度目かの打ち合いの中、志貴がバランスを崩したのだ。



有彦「もらったー」

それを有彦は見逃さず、志貴に視える点を刺月で突いた。



志貴「フン・・・・未熟」

だが、志貴に当たる寸前、有彦の視界から志貴が消えた。

志貴はバランスを崩したのではなく、わざと隙を作ったのだ。

有彦が気づいた時には、既に事は終わっていた。





志貴「静かに眠れ・・・・・・」

志貴は有彦の点を、鉄拳で殴っていた。







のこり5分。



志貴「ハッ」

俺は正気に戻った。

何故か気分がすっきりしていた。

足元を見て、その理由が分かった。

おそらく有彦とマジにやり合ったのだろう。

だから、すっきりしたと。





鬼を確認すべく俺は周りを見てみる。

鬼の連中は遠くに居てこっちを見ていた。

だが、俺が正気に戻ったのが分かったのか、鬼たちは一斉にこっちに走り出してきた。

俺は今が逃げるチャンスと思いレンを探す。

するとレンは、俺の後方に居た。

俺はレンを拾い上げ服の中に入れて、林から思いっきり走り出す。

目指すは屋敷の中。





志貴「ハァ、ハァ、ハァ」

決してこの声は、変な声じゃないぞ。

走って息切れしている声だぞ。

まあそんな事は、どうでもいい。

俺は居間に飛び込んだ。

すると、翡翠だけが居た。





志貴「翡翠?」

翡翠「何でしょうか?」

志貴「他の鬼は?」

翡翠「志貴様が、ここに入られる少し前に出て行きました」

志貴「そうか・・・ゴメン、水もらえる?」

翡翠「わかりました。少々お待ち下さい」

翡翠は一つお辞儀すると、台所へと歩いていった。





志貴「あと少しだな。今回は俺の勝ちかな」

イヤイヤ油断するな、志貴っち。

相手はあの、腹黒い琥珀さんだ。

どんな手を使ってくるか、分かったもんじゃない。

・・・・・ハッ、まさか今回も翡翠と琥珀さんが入れ替わっていたら。





翡翠「志貴様」

志貴「うひゃおわぁお」

突然な事に意味不明な悲鳴をあげてしまった。

翡翠、いつも言うけど気配を絶って俺の背後に来ないでくれ。

・・・・もしかすると、翡翠って絶が使えるのか?

それどころかクラ○カみたく、ある条件で全系統を100パーセント引き出せるのか?

翡翠って一体何者なんだ?

まあ今はいい・・・・って俺ってなんだか、先延ばしばっかりだな。





志貴「ああ、ありがとう」

俺は翡翠から水を受け取って、ゴキュゴキュと飲む。

一汗掻いた後の、水はうまい!!

上手い食事を食うと、『う〜ま〜い〜ぞ〜』と言って眼が光るじいさんもびっくりだ!!!





志貴「そういえば、翡翠?琥珀さん?」

自分でも意味がわからない様な質問をした気がする。



翡翠「どういう意味でしょうか?」

志貴「ほら、前回は翡翠と琥珀さんが入れ替わってたじゃないか」

翡翠「今回は入れ替わってません」

志貴「本当に?」

翡翠
「国内産純100パーセントの翡翠です」

志貴「そ、そう。ゴメン疑って」

翡翠「いえ、気になさらないで下さい」

そうだよな、入れ替わってたら直ぐにタッチしてくるよな。

ふう、よかった。

それにしても、国内産って・・・・。

外国産とかあるのか?

ヒスーイとかだったりして・・・・・・・。

って、何を考えてるんだ俺は。





志貴「そういえば、あと時間どれくらい?」

翡翠「のこり30秒です」

志貴「そうか、今回は俺の勝ちだ・・・・・・・なっ!!」

俺が勝ちを確信して、油断した時。







俺の。







下にあった床が。







ポッカリと口を開けた。







もちろん重力に逆らえるはずも無く、万有引力の法則に従い俺は真っ逆さまに落ちていった。



志貴「
ニュートンの馬鹿やろぉ」

俺は万有引力なぞ見つけたニュートンに文句を言いながら、奈落の底へと落ちていった。

落ちていく時、俺ははっきり見てしまった。

居間の入り口で不適に笑う、琥珀さんを・・・・・。

恐るべし、策士琥珀。









落ちる。









落ちる。









まだ落ちる。









どれくらい落ちただろうか?

急に落下が止まり、今度は上に引っ張られている。

居間に引っ張り上げられた俺は、網に捕まった猿みたいな状態で、ついに琥珀さんにタッチされてしまった。









遠野志貴 捕獲

――――――残り ?









琥珀「もう少しでしたね、志貴さん」

志貴「ううっ、あと少しだったのに」

琥珀「翡翠ちゃん、時間は?」

翡翠「3・・・2・・・1・・・0。終了です」

琥珀「はい、今回も私の勝ちで・・・・・」

その途端、笑顔だった琥珀さんの顔が見る見るうちに変わっていく。

何故なら、大きなリボンをした猫が俺の首元から顔を出したからだ。

そう、レンである。

琥珀さんは俺にタッチをしたが、レンにはタッチをしていない。

という事は・・・。





翡翠「優勝は・・・」

その言葉で、レンは人型になる。

翡翠はレンの手を取り、高々と掲げる。





翡翠「レン様です」

琥珀
「ガ〜〜〜〜〜ン!!」

珍しく白目になり、声無き声をあげる琥珀さん。

そんな琥珀さんを見れた事が、俺は嬉しかった。









こうして、第二回「遠野家おにごっこ」は幕を閉じた。







優勝者 レン









その後はみんなで、レンの許可のもと俺のアルバムを見たり、食事をしたりとパーティーが催された。

俺は今日一日、いろいろと疲れて一人テラスの椅子に座り涼んでいる。

ちなみに俺が殺したらしい四季は、蘇生されてピンピンしている。





志貴「フゥ・・・・でも楽しかったな。・・・ん?」

そこへ人型のレンが寄ってきて、俺の膝にちょんと座った。





志貴「どうした?」

俺はレンの頭を撫でる。





レン「ありがとうなの」

志貴「何が?」

レン「志貴が助けてくれたから、優勝できたの」

志貴「そう?」

レン「うん。だから、これ返すの」

レンはそう言うと、俺に『虹』を手渡してきた。





志貴「いいの?」

レン「うん。あと志貴には『好きな夢見放題』をプレゼントするの」

志貴「いや、いいよ。俺負けちゃったし」

レン「助けてくれた、お礼なの。だから受け取って」

志貴「・・・・わかった。ありがとうな、レン」

俺はもう一度、レンの頭を撫でてあげた。

するとレンは、ニッコリと笑った。

そんなレンがとても可愛く見えて、更に頭を撫でてあげた。





空に浮かぶは、仰ぐほどの大きな黄金の丸い月。

それは俺とレンを照らすかの様に、綺麗に淡く光を放ち続けている。







翌日、商品のほとんどがレンには興味が無く、持ち主に返したらしい。

ただ『有彦編集の志貴幼少時代のアルバム(ポロリもあるよ)』と『遠野志貴』

その賞品だけを、レンはありがたく受け取ったとか。













あとがき
如何でしたでしょうか?コン・ゲーム2、楽しんで頂けましたか?
この企画はキクロウさんが提案した物で、私はそれを書かさせてもらいました。
笑いあり、涙あり(?)、シリアスあり(?)、バトルありの作品です。
それでは短いですが、私からはこの辺で

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送