事の始まりは或る日の昼下がりだった。

俺は中庭で昼食を食べようと、皆を誘った。

メンバーは、俺こと遠野志貴、秋葉、翡翠に琥珀さん、それに居候中のシオン。

レンも誘おうとしたけれど、何処かに出掛けていた。

この時間だとレンは、多分公園に居るだろう。





レンは昼過ぎになると公園へ行き、沢山のネコとネコ会議を開いている。

俺の夢は、いつか一度でいいから、その会議で・・・・・





ネコに埋もれたい。

だってフカフカのホワホワだぞ!暖かいんだぞ!!





っと、少し話が脱線してしまったみたいだ。

話を戻そう。

今俺たちは、昼食を食べる為に中庭でバーベキューを行っている。









琥珀「さあ、焼きますよ〜♪」

なんでだろう?

ただ焼くだけなのに、琥珀さんが言うとすごくリアルに聴こえるのは・・・・・。

まあ、この問題は気にしなかった事にしよう。

世の中には知らない方が幸せってこともある。





琥珀「先ずは、野菜からですね〜」

そう言うと、琥珀さんは鉄の串に次々と野菜を
笑いながら刺していく。

正直に言うと
すごく怖い。

皆を見てみると、やっぱり少し引いていた。





琥珀「あ、そうだ。お肉が少し多いので、焼肉も一緒にやりましょうか?どうです、秋葉様?」

野菜の刺さった串を金網の上に置き終えてから、秋葉に焼肉もやろうと言い出す琥珀さん。

そんな琥珀さんが、『焼肉』と言った瞬間俺は見逃さなかった。

シオンの目が怪しく光った事を。





秋葉「えっ?ええ、い、いいわよ、琥珀。兄さんも宜しいでしょうか?」

志貴「ん?俺は別にいいよ」

いきなり振られたもんだから、焦る秋葉。そりゃ、焦るだろうな〜。

なんてたって、野菜を刺してる琥珀さんを見た後だから。怖さも倍増だ!

きっと、泣く子は更に泣くぞ。

ことわざで言うと、
泣きっ面に琥珀さんだな。





琥珀「じゃあ、ちょっと準備しますね。翡翠ちゃんも手伝って」

翡翠「わかりました、姉さん」

志貴「あっ、琥珀さん。俺も手伝おうか?女の子にそんな重い物、持たせれないし」

琥珀「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ、志貴さん。そんなに、重くないですから」

そう言うと、琥珀さんと翡翠は屋敷の中へと入っていった。





それを見届けてから、俺は振り返る。

志貴「秋葉とシオン?」

秋葉「何ですか、兄さん?」

シオン「何でしょうか?」

志貴
「琥珀さん、怖くなかった?」

秋葉・シオン
「「すごく怖かったです」」

あ、やっぱり。

俺だけじゃなかったんだ。

いや〜良かった良かった。





程なくして、琥珀さんと翡翠が
鉄板を担いで戻ってきた。

と、
戸○呂弟!?

明らかに重そうなんですけど・・・・・・・・・。

そんな事などお構いなしといった様に、鉄板を置いて準備をしていく二人。





琥珀「遅くなりました。じゃあ焼き始めますね〜」

手際よく鉄板の上に、肉を置いていく琥珀さん。

ジュージューといい音がする。

俺はさっきの事でシオンが気になり、チラッとシオンを見る。



志貴
「(うわっ。目がランランに光ってるよ)」

そこには、戦闘体勢のシオンがいた。

誰が見ても、
肉を狙っているとしか思えない。






琥珀「はい、焼けましたよ」

志貴「ありがとう琥珀さん。じゃあ頂きます」

そうこうしている内に、肉が焼けたらしい。

焼肉独特の匂いが伝わってくる。

思わず唾を飲み込んでしまった。





どうやら、食べるのは二組に分かれたらしい。

バーベキューは、秋葉、翡翠、琥珀さん。

焼肉は俺とシオンだ。





ああ、焼肉なんて何年ぶりだろうか?

涙が出てきたよ。

ありがとう、俺戻ってきて良かった。

俺は感傷に浸りながら、焼肉ちゃんを味わうべくゆっくりと手を伸ばす。

俺が近くの肉を取ろうとした、瞬間。







目の前の。







肉が。







消えた。









本当に、こつぜんと消えたのだ。

何が起こったか分からなかった。

俺は気を取り直し、また肉を取ろうとした。が、

またもや肉は消えた。





だけど今度は、確実に何が起こったか分かった。

俺の箸が肉を取ろうとした瞬間、別の箸が飛び出してきたのだ。

そしてその箸は、俺の狙っていた肉を取る。





その箸の持ち主は、間違いなくシオンだった。

シオンは俺が肉を取ろうとすると、必ず邪魔をしてくる。

さっきから取る、消える、取る、消えるの繰り返しだ。

だから俺は、諦めてバーベキューの方へ移動せざるを得なかった・・・。

せっかくの焼肉がぁ〜〜!





秋葉「あら兄さんどうしたんです?」

志貴「・・・・気にしないでくれ」

秋葉「変な兄さん」

何!?お前に分かるのか?この苦しみがっ!

焼肉を目の前にして、ありつけないんだぞ!!

・・・翌日の遠足を楽しみにして、当日雨を降られた小学生の気分なんだぞ、今の俺は。

まあいい。

せっかくベーべキューがあるんだから、こっちを食べよう。





志貴「うん、おいしい。さすが、琥珀さん」

琥珀「あは〜、褒めても何も出ませんよ〜♪」

シオン「琥珀!肉の追加をっ!!」

こっちが良い雰囲気をかもし出しているのに、シオンは肉の追加を頼んでいる。

シオンの食べるペースが、一向に衰えない。

一心不乱に食べている。



それはそうとシオンさんや、
まだ食べるのかい?

如何見ても、三人前は食べてるじゃないか。





秋葉「シオンって、余程お腹が空いてらしたんですね」

志貴「そう・・・みたいだな」

シオンの食べっぷりに対して、呆れる俺たち。

それでもシオンはお構い無しといった様に、ものすごいスピードで肉を食べている。





秋葉「シオンは置いといて。ねぇ兄さん?裏庭に来ると、昔の事を思い出しませんか?」

志貴「ん?あれか?鬼ごっこや、かくれんぼをしてた事か?」

秋葉「ええ、そうですわ」

志貴「確かにそうだな、懐かしいなぁ」

シオン「志貴、それはどんな思い出ですか?」

今まで、食べるのに夢中だったシオンが尋ねてきた。

一人でずっと食ってろ!!

と、言いそうになったのをグッとこらえる。

今此処に居るのは俺を含めて四人。

琥珀さんは、お肉の追加を盗って・・・・いや取って来る為に屋敷の中に入っていった。





志貴「あれは・・・・・」

そして、俺はシオンに昔話をしていく。

その途中、俺がうっかり口を滑らせ、





志貴「あの頃の秋葉は、俺の後をトコトコ追って来て、ホント可愛かったな」

何て言ったもんだから、さあ大変。



秋葉「兄さん?・・・それはどういう意味ですか?あの頃は、って今の私は可愛くないと仰るんですか?」

予想通り、極上の笑顔を作り髪が真っ赤になっている、秋葉が居た。





志貴「え、い、いや、そ、その、ほ、ほら、あ、あれだ、うん」

予想していたとはいえ、あまりのプレッシャーに舌がうまく回らない。

助けを求めようと翡翠を見るが、何故かご機嫌ナナメになっていた。





志貴「ひ、翡翠さん?一体何が・・・」

翡翠「志貴様は、愚鈍です」

シオン「志貴、やはりあなたは女心っていう物を分かってません」

そしていつの間にか、周りは敵だらけになっていた。

たすけて〜〜、ドラ○もん〜〜〜

俺は絶体絶命だと思った。

が、そこへ、肉を山盛りに持って来た救世主が現れた。





琥珀「あらあら、秋葉様もシオン様も翡翠ちゃんも、一体如何したんですか?」

志貴「こ、琥珀さん。ちょうどいい所に」

そして俺は、まるまるうまうまと便利な言葉で理由を話していく。

これで通じるのが不思議だ。

というか、八文字なら通じるのが不思議だ。





琥珀「なるほど、
カクテキビビンバですか。志貴さんも、悪気があって言ったんじゃないと思いますよ?」

秋葉「悪気があったんなら、なおさら悪いです!」

琥珀「まあまあ、秋葉様落ち着いてくださいな」

さすが、琥珀さん。

秋葉の扱いは手馴れた物だ。





琥珀「それにしても、鬼ごっこですか。そういえば一回、ここでやりましたよね」

志貴「そういえば、皆でやったよな」

シオン「そうなんですか?」

志貴「そっか、シオンいなかったからな。やってみたかった?」

シオン「はい、そういうのはやった事がないので。是非」

琥珀「あは〜♪じゃあ、第二回始めましょうか?秋葉様もいいですよね?」

秋葉「そんなの私は、は・・・」

琥珀「秋葉様、秋葉様」

琥珀さんは秋葉に近寄ると、秋葉と一緒に少し遠くに行ってしまった。





秋葉「何よ、人の言葉をさえぎって」

琥珀「お忘れなんですか?」

秋葉「何がよ?」

琥珀「賞品ですよ、しょ・う・ひ・ん♪勝てば志貴さんを・・・」

こそこそと何かを喋りだした、秋葉と琥珀さん。

何か背筋が寒いのは、俺の気のせいだろうか。

何故秋葉を薄ら笑いを浮かべて、俺を見るのだろうか。



秋葉〜顔が悪代官みたいだぞ。

越後屋(琥珀さん)から何か受け取ったのか?

しばらくして、話がついたのか秋葉と琥珀さんが戻ってきた。





秋葉「えー、明日は日曜日で休みですので、一日使って鬼ごっこをする事にします」

志貴「は?ちょっと待て秋葉、何をいきなり」

言い出すんだ。と、続けようとしたが、



秋葉「何か文句でも?」

と、凄味のある声で脅されてしまい、何も言えなかった。

何でこんな性格になったんだろ?

お兄ちゃんとしては、悲しいよ。





秋葉「と言う事で、シオン。明日は鬼ごっこをしますが、異存はないですね」

シオン「ええ、大丈夫です」

秋葉「賞品は自分の大切な物を賭けるので、準備しておいて下さい。ルールは明日、皆が集まった時に話しますので」

シオン「分かりました」

志貴「ちょ、ちょっと
待ったー

秋葉「何ですか、兄さん!まさか、賞品を賭けるのが嫌だ。と、仰るんではないでしょうね?」

志貴「うっ・・・・・」

ものの見事に当てらてしまい、言葉が詰まってしまった。



秋葉「だいたい、兄さんはですねっ!遠野家の長男としての自覚が・・・・」

すると、秋葉お決まりの説教が始まってしまった。

秋葉一つ聞いてもいいかな?





長男の自覚と鬼ごっこは関係ないぞ。





結局、俺も参加させられる事になってしまった。

俺って何だかんだ言って、いいお兄ちゃんだなぁ。

自分でしみじみ思う。







その翌日、人類史上最大規模の遠野家鬼ごっこが始まる。











遠野家コン・ゲーム2

〜史上最大最悪最狂の死亡遊戯〜

原案
 キクロウ 執筆 鋼














翌日、遠野家の居間に鬼ごっこのメンバーが集まった。



俺は今日集まった皆を見て、一つ思った。

このメンバーで無事に済むのか?





今現在、遠野家に集められたメンバーは、



俺、秋葉、翡翠、琥珀さん、アルクェイド、シエル先輩、有彦、シオン、レン、

先生、橙子さん、何故か青神、清藍さん、四季、弓塚さん、これまた何故かメレム・ソロモン。

の計16人。





志貴「琥珀さん、よくこんなに集めれたヒ」

琥珀「あは〜、張り切っちゃいました♪」

本当、琥珀さんには感心する事ばっかりだ。

・・・・・違う意味で。





皆それぞれの経緯は・・・。

俺、秋葉、琥珀さん、アルクェイド、シエル先輩、有彦、四季、弓塚さんは前回同様。

シオン、レンは初参加。

先生は招待状が届き、仕事で会った橙子さんにも伝わったらしい。

有彦の彼女の清藍さんは有彦から聞き、青神は今日のために蘇ったらしい。

前回の、四季と弓塚さんみたいなもんだ。



メレムはシエルをいじめようと偶々日本に来ていて、遠野家の前をうろついていた所を誘ったとか。

二十七祖が、こんなのでいいのかよ。



翡翠は前回と同様、中継報告係だ。

ネロは今回、パスしたらしい。

ちょっとは、期待してたんだが。

まあ、来ないのならそれでいいか。





琥珀「皆さんよくぞ、お集まり下さいました。さっそくルール説明をしたいと思います」

手を二回叩いて、琥珀さんが皆にルール説明を始めた。

と思ったら、色々な方々から意見が飛び出した。





アルク・シエル・有彦「「「
ちょっと待っ(てよ)(て下さい)(たー)」」」

シエル「どうしてメレムがいるんですか〜」

アルク「何でブルーがいるのよ」

有彦「どうして、お前がいるんだ〜」

三者三様の言葉が飛び出す。

まあ、それはそうだろうな。





メレム「どうしてって、シエルをいじめに来たんじゃないか」

青子「私が居ちゃいけないのかしら?」

青神「蘇らせてもらったから、来たのだよ闘神君」

志貴「
お前ら〜一人ずつ喋れ〜〜!

まったく、聞くほうは何言ってんだか、わからんぞ。





琥珀「私がお呼びしたんですよ〜」

シエル「また・・・ですか」

琥珀「ええ、人数は多い方が楽しいじゃないですか」

アルク「必ず死人が出るわよ」

琥珀「その点は、大丈夫です。そのために青神さんをお呼びしたんですから」

有彦「なるほど。蘇生か」

琥珀「ええそうです。蒼崎様は前回、招待状が届かなかったものですから、今回は届いてよかったです」

青子「前回はちょっと、世界を飛び回ってたからね」

翡翠「メレム様は、屋敷の前に居たところを私が呼びました」

メレム「そういう事だよ。シエル」

シエル「クッ・・・分かりましたいいでしょう」

どうやら、皆納得してくれたらしい。

今のやり取りの間、他の皆は完全に知らん振りしている。





琥珀「それでは、言いますね。ルールは前回同様です。と言っても、初めての方もいますので説明いたします。

   今回も、遠野家ルールを採用します。最初にくじ引きで決めた鬼は、タッチをしてもそのまま鬼の役を継続します。

   つまり鬼が増えるわけですね〜♪それで、制限時間は午前九時から午後三時までの六時間です。

   その時点で、鬼になっていなかった人が勝者です。

   もし複数残っていれば、先に最初の鬼にタッチすれば勝ちです。

   そして、全員を鬼にすれば最初の鬼の人が勝者です。

   後今回は、何でも有りです。さいわい死んでも蘇生があるので生き返りますから♪

   思う存分殺っちゃって下さい♪

   ですが、青神さん、精霊でのタッチは無しです。一瞬にして終わりますので。

   さてそれでは、参加条件の賞品を出してくださいね〜」



琥珀さんのルール説明が終わった。

途中なんか物騒な事を言っていたが、異議を唱えると俺がやられそうだから黙っておく。





志貴「じゃあ、俺はこれ。七夜の遺産『虹』」

俺はテーブルに賞品を置く。



青神「じゃあ私はこれにするよ。『蘇生の不死鳥』」

そう言うと、青神の体からバサッと綺麗で大きな鳥が現れた。



弓塚「私はこれ。『ポルノグラフィティのインディーズ時代の限定テープ』」

弓塚さんが取り出したテープに、有彦が「おおっ」と反応をした。

だけど俺には、そんなにいいのか分からない。



シエル「それでは私は今回これにします。『世界に一つだけのスパイス』」

先輩が取り出した途端、部屋中にもの凄い匂いがたちこめた。

皆で急いで窓を開ける。



秋葉「なんですか!それはっ!!」

シエル「スパイスです」

秋葉の講義にも平然と言う先輩。

みんな咽てるのに、何で先輩は大丈夫なのだろう?

カレーに対しては何を言っても無駄だと、秋葉も悟ったようでそれ以上何も言わなかった。



アルク「じゃあ私は『千年じょ・・・』」

秋葉「何考えてるんですかっ!そんなのは却下です!」

アルク「む〜。じゃあいいよ、今回も『志貴』」

志貴「また、俺かよ!!」

アルク「だって、妹がダメって言ったもん」

こうなる事ぐらい分かるだろ、秋葉よ。

お兄ちゃんはとても泣きたくなって来たよ。



秋葉「・・・クッ仕方ありません。認めましょう。次は私ですね。『遠野家当主権利の一日使用権』」

先生が優勝して、そんな権利があったら遠野家は崩壊すると思うぞ・・・。



四季「今回は『遠野家地下王国の使用権』」

おい四季、そんなのは誰も要らんと思うんだが・・・。

何せ地下室といったら、嫌な思い出しか出てこない。

思い出しただけでも寒気がする。



琥珀「それでは、私は『思い出の白いリボン』」

琥珀さんにしては妥当だな。

てっきり、
『まききゅ〜X』みたいのが出ると思ったんだけどなぁ。



青子「じゃあ私は『トランク』」

机の上にドスンという音が響いた。

・・・・・一体それの重さはどれくらいですか?



橙子「ふむ・・・私は『封印指定』」

橙子さんは眼鏡を外している。

どうやらヤル気まんまんだ。



秋葉「そんなのは認めません!」

橙子「クックック、それはそうだろうな。こっちが本命だ『好きな人形一体』」

秋葉「好きな人形とは?」

橙子「その名の通りだ、何でも良いぞ」

シエル「それは、本当ですか!!」

橙子「ああ、嘘ついて如何する?」

秋葉「如何したんですか?そんなに慌てて」

シエル「秋葉さんは知らないみたいですね。この人は最高位の人形師で、この作る人形は本物そっくりなんです」

秋葉「ええ!!という事は・・・・」

なんでそこで二人して、俺を見るかな・・・。

って、何で弓塚さんや先生、琥珀さん翡翠、レンにシオンまで見るんだよ!!

アルクェイドは、『そんなの無くても志貴は私のだし〜』とか言ってるし。

四季は何か、『秋葉〜』とか言って悶え転てるし。

有彦と清藍さんは、互いに見詰め合ってるし。

メレムに至っては、トリップしちゃってるよ・・・。

唯一まともなのは、青神だけ〜?



シオン「コホン、で、では私は『ブラックバレルレプリカ』」

シオン顔が真っ赤だよ。



清藍「私は『有彦くん』」

有彦「いや〜照れるなぁ」

一生やってろ、バカップル。



レン「・・・・・・・」

秋葉「何て言ってるんです、兄さん?」

志貴「『お好きな夢一年分』だって」

レンは、こくこくと頷く。

何て可愛いんだ。

俺は思わず、抱きしめそうになってしまった。



メレム「次は僕だね。『秘蔵の秘宝類』」

シエル「コレクターのあなたが珍しいですね」

メレム「偶にはね」

有彦「最後に俺だな。見て驚け、『有彦編集の志貴幼少時代のアルバム(ポロリもあるよ)』」

バンッと机の上に、分厚いアルバムを置く有彦。

ポロリもあるってなんだよ。そんな写真撮らせた覚えはないぞ。

しかも案の定、女性陣(清藍除く)群がってるよ。

きゃー、とか可愛いー、とか言ってるし・・・。

それに橙子さん?

あなた、そんなキャラクターでしたか?





追伸。皆を鎮めるのに、五分ぐらい時間がかかった。



翡翠「それでは皆様、鬼を決めますので、どうぞくじをお取り下さい。印が付いている人が鬼です」

騒ぎが納まって、翡翠の手により差し出された箱から皆、次々とくじを取っていく。

それにしても翡翠、割り箸って・・・。

王様ゲームの王様決めか?





俺も一つ取る。





ドクンドクンと心臓が鳴る。





よほど緊張しているらしい。





何せ、このくじで全てが決まると言っても過言ではない。





「パワーゲーム」か「IQゲーム」か。





そして、最初の鬼は――――――





琥珀「あは〜、今回も私ですね〜♪」

琥珀さんだった。

よし、前回の借りは返してやる!

・・・・・って本当に出来るのか?俺・・・・。





翡翠「皆様、これを」

翡翠は皆にトランシーバーを手渡していく。





琥珀「それでは、百数えますね〜」

こうして、遠野家コン・ゲ−ム2は幕を開けた。







さあ――――――騙し合おう









さて、今回は如何するか?

俺は前回同様、居間を出てホールで考える。





よし、とりあえず前回と同じで、まずは離れにでも行くか。

それにしても・・・。

俺は振り返る。





志貴「
今回もついて来るな〜〜

アルク「だって〜」

志貴「だってもくそもな〜い」

アルク「む〜、わかったわよ。じゃあね志貴」

メレム「あ、まってよ〜姫〜」

メレムよ、君は本当に
死徒か

如何見ても、ストーカーじゃないか。



シエル「あのバカはほっといて、それでは遠野くん」

弓塚「じゃあね、志貴くん」

二人は屋敷の奥に消えていく。



秋葉「それでは、兄さん。頑張りましょうね」

四季「待て〜秋葉〜」

秋葉「
ついてこないで、シスコン

四季「ゲファ」

いつになっても、懲りない奴だ。



青子「じゃあね、志貴」

志貴「先生、橙子さんは?」

青子「姉貴?姉貴なら、とっくに出てったわよ」

志貴「そうですか」

一瞬、先生と橙子さんが、一緒に歩く所想像しちゃいましたよ。



有彦「じゃあな、志貴。清藍さん行きましょう」

清藍さんは、ペコッとお辞儀して有彦と出て行った。



シオン「じゃあ志貴、私も行きます」

レン「・・・・」

――――――頑張るの。

志貴「ああ、じゃあね」

猫型のレンとシオンも続いて、出て行った。



青神「私も行くよ」

最後に青神も出て行く。

皆思い思いの方向へと消えていった。

さて、俺も移動するか。





玄関を出て庭を駆け抜け、離れへと到着する。

後ろを振り向くが、誰もついて来ていない。

そろそろ、琥珀さんが活動する頃だ。

その時である。

耳につけたイヤホンから、連絡が入った。





翡翠「二人目の鬼が出来ました」

さっそく誰か捕まったらしい。

誰か考えようとして、ふと前回のネロの事が浮かんだ。





志貴「もしかして・・・」

いやな予感がする・・・。



当たっていたとしたら――――――。



――――――いや、絶対当たっている。





翡翠「青神様です」

やっぱり・・・・おそらくはネロと同様の手口だろう。

翡翠「それでは、その時の説明をします」









琥珀「きゅうじゅうきゅ・・・・ひゃーっく!」

翡翠「姉さん、頑張って下さい」

琥珀「うん、ありがとう。その前に・・・・」

翡翠「何してるんですか?」

琥珀「あっ、いたいた」

翡翠「それは、青神様の賞品ですけど」

琥珀「ターッチ」

翡翠「あ、もしかして」

琥珀「翡翠ちゃんの思った通りよ。じゃあ青神さんを、放送で呼んでもらえる?」





青神「どういう事かな?私が捕まったなんて」

琥珀「この子は、青神さんの体の一部ですよね?」

青神「そういう事になるね。・・・・なるほど、そういう事かい」

琥珀「はい。前回ネロさんという方が、この手で捕まりました」





蒼崎青神 捕獲

――――――残り十三人









志貴「青神に教えとけば良かった・・・・・」

俺はため息を吐きながら、離れに滑り込む。

それと同時に、青神の監視用精霊が前回のネロ異以上に放たれた。



志貴「間一髪だったな」

俺がふすまを開けて、畳の部屋に行くと・・・・





志貴「
四季が寝ていた

四季「アホか〜〜〜〜!!どっから如何見ても倒れてる、っておもうだろうがっ!I」

四季もツッコミ派か〜、てっきりボケだと思っていたんだけどな〜。





四季「ところでお前、茶飲むか?」

志貴「ああ、もらうよ」

そして、俺と四季は二人で一緒にお茶を飲む。

ぷはぁ〜〜〜うまい!!

やっぱり、お茶はいいねぇ〜。

誰だ?今俺のことをジジクサイって言ったのは。

ちゃんと聞こえてるんだぞ。

・・・・・まあいい。





志貴「ところで、四季。なんで此処で倒れてたんだ?」

四季「それがよ〜、聞いてくれよ。俺が秋葉に『お兄ちゃんがお前を守ってやる』って言ってやったらよ〜」

志貴「秋葉は何て言ったんだ?」

まあ、だいたい予測はつくがな。





四季「
『貴方何かに守られるぐらいなら、お父様の着せ替え人形になった方がマシです!!』

何て言って、略奪して来やがったんだよ。まあ、そこが秋葉の可愛い所だからいいんだけど」



いいのかよっ!!

お前それはシスコンを通り越して、重度の病気だぞ。

まあ、不死だから出来る芸当だな。





四季「それで、此処に倒れてたって言うこった」

志貴「お前も大変だな(つーか自業自得じゃん)」





四季「そういえば、腹減ったな。今何時だ?」

部屋にある時計を見る。



志貴「今は十一時三十分だな。確かに昼飯時だな」

四季「しまったぁ〜!!!」

突然四季が声を上げた。





志貴「どうした、四季?何が閉まったんだ?ふすまか?」

四季「ボケてる場合か!!今回、飯持ってくんの忘れちまった」

志貴「なんだ、そんな事か・・・食うか?」

俺は食料を取り出す。

それにしても、やっぱりコイツはツッコミ派だ。





四季「おおっ!準備いいじゃねぇか。どうしたんだこれ?」

志貴「前回の二の舞はしないさ」

四季「さすが、志貴だ」

はっはっは、と笑ってお互いに、お茶をすすりながら昼飯を食べだす。





志貴「そういえば・・・モグモグ」

四季「どうした?・・・・ズズッ」

志貴「前回はこの時間で一人つかま・・・」

その時、イヤホンからノイズが流れた。





志貴「やっぱりな・・・」

翡翠「三人目の鬼が発生しました――――――」

あの人しかいないだろ。









琥珀「そういえば、もうお昼ね」

翡翠「どうするんですか?前回はカレーでしたが」

琥珀「決まってるじゃない、今回も」

翡翠「カレー・・・ですか」

琥珀「もっちろん♪」









シエル 捕獲

――――――残り十二人









志貴「またかよ・・・
ピエール先輩

四季「プ・・・・ハハハハ。ピ、ピエールだってよ。クククッお前センスあるな」

ツボに嵌ったのか、笑い転げる四季。



どうしてこう、前回と同じ手でひっかかるんだろう?」

四季「フゥ・・・安心しろ、志貴。俺なら大丈夫だ」

ようやく笑いが収まったのか、自信満々に言う四季。

つーか、お前ほど心配な奴はいないよ





その時、また鬼発生のノイズが聞こえてきた。

志貴「四人目、速っ!!」

四季「まったくだ。一体誰だ?」

翡翠「四人目は―――――」









琥珀「ようやく、捕まえましたよ。志貴さん」

秋葉「ふん、甘いわよ琥珀。私が同じ手に、二度もかかると思って」

『ちょちょっと待ってよ、琥珀さん。何故タッチするのに、注射器がいるんだよっ』

シエル「それはですね〜。遠野くんが眠った後に私たちが、それはもうゆっくり楽しむ為ですよ」

『うそっ!いや、ほんとシャレになんないって。や・・やめて〜』

秋葉「待ちなさい、カレー女!!私の兄さんに何してるんですか〜!!!」

琥珀「タッチです。秋葉様」

シエル「まったく、こんな手で出てくるなんて。・・・単純ですね〜」

秋葉「あっ・・・琥珀!!今回も今の声は」

琥珀「はい、テープレコーダーですよ〜♪」









遠野秋葉 捕獲

――――――残り十一人









志貴「少しは学習しろよ・・・」

だんだんバカらしくなって来た。





四季「なんてこった〜、秋葉まで捕まっちまうとは・・・お兄ちゃんは頑張るからな」

志貴「じゃ、そろそろ行くか」

四季「そうだな」

俺と四季は立ち上がり、離れを出て行く。

その間、飲んだお茶のおかわり回数。







俺・・・・・
50杯







四季・・・・・・
51杯







こいつといると、何でこんなに飲むんだろ?





志貴「とりあえず・・・精霊が監視してるんだけど」

四季「ああ、そうだな。でもほっておこうぜ」

離れから出て、林に向かって歩く俺たち。

そんな俺たちの周りにいる精霊、ざっと数えて
300

ウザすぎる・・・。





志貴「放っておくにも、邪魔すぎるぞ」

『キャアァァァアァァァァア』

その時、林の方から突然秋葉の叫び声があがった。

すっげぇ嘘くさいよ、秋葉。

やっぱり、秋葉は正直者だなぁ。

お兄ちゃんとしても、鼻が高いよ。





四季「今の声は秋葉かっ!!!秋葉〜今行くぞっ!!」

その言葉に俺はズルっとこけてしまった。





志貴「オイ四季。前回と一緒で嘘に決まってるだろ」

四季「うっせぇ!!妹がピンチになってんだ、それを助けるのが兄貴の役目だろっ!!」

こんな状況じゃなきゃ涙ものの言葉を言って、四季は林に駆けて行った。

あ〜まったくどいつもこいつも、少しは学習しろっ!!









遠野四季 捕獲

――――――残り十人









志貴「此処は、マズイな」

その場から立ち去り、俺は屋敷に走り自分の部屋の近くの木に登る。

近くに誰もいない事を確認してから、木から部屋に飛び移る。

窓は、前もって開けておいたからすんなり入れる。





部屋に入ると、精霊が一体居た。

だから俺は――――――。

志貴「邪魔だ、消えろ」

――――――その精霊を殺した。

ったく、勝手に人の部屋に入るな。

(お前が言うな by四季)





志貴「・・・・フゥ、一先ずは安全だな。何かあったら、林に飛び込めばいいし」

俺がベッドに座り、逃げ場を考えた矢先。

恒例の、ノイズが流れた。



志貴「何かだんだん捕まるのが、速くなってきたな・・・・」

今回はそれほど、ハイペースだと言う事だ。









青子「邪魔よ!!!・・・・ったく何て数かしら」

精霊を殺しながら、隠れる場所を探す蒼崎青子。

その女性が通った後には、無数の殺された精霊たちの姿があった。

まさに
女ランボーである。





青子「ん?ここが良さそうね。ここに決めた」

林の中に潜り込み、私が決めた先には既に先客が居た。

それは、一番嫌な相手。





青子・橙子「「ゲッ」」

橙子「何故、お前がここに来るんだ!?」

青子「姉貴こそ、何でここにいるのよ!」

橙子「何故、ここにいるかだと?このゲームはな、いかにして隠れきるか。が、ポイントなんだ」

青子「そんなのは、わかってるわよ!!」

橙子「わかってるなら、さっさと他の所へ行け!!愚妹がっ!!」

青子「言ってくれるじゃないの、このバカ姉貴!」

橙子「やるのか?」

青子「上等!!」

恒例の姉妹喧嘩が始まった。

瞬間その場所が、戦場と化した。





ドガッ、バギッ、オラッ、ムダムダァ、ドラァ



様々な音が、林の中から聞こえてくる。

幽波紋のような攻撃も・・・・。





秋葉「シエルさん、あれを止めてください」

シエル「無茶言わないで下さい!あんなのの中に、飛び込めるわけありません!!」

秋葉「チィ、年増の役立たずが」

シエル「何か言いました?」

黒鍵を取り出す、シエル。





秋葉「何か聞こえました?」

その言葉に秋葉も髪を赤くさせる。

そして、バチバチと睨み合う二人。

こちらも蒼崎姉妹みたく、おっぱじめる様だ。

そんな中一人の男が飛び出す。





四季「やめろ、ピエール。秋葉に危害を加えるなら俺が相手だ!!」

秋葉「プ・・・アハハハハ。ピ、ピエールですって。お似合いの言葉ですわね」

どうやら、秋葉にもクリーンヒットしたようだ。





シエル「誰がピエールですかっ!誰が言ったんですか、そんな事!!」

かたや、ピエー・・・もといシエルはお怒りだ。



四季「志貴」

シエル
「そうですか・・・・フフフフフ」

そんな事を繰り広げている間、姉妹喧嘩はエスカレートしていく。





秋葉「ゴホン、こんな事をしている暇はありません。だれかアレを止めれる方?」

青神「私がやろう」

秋葉「お願いします」





青子「これで、決めてやるわ」

橙子「奇遇だな。私もこれで決めるつもりだ」

最後の技を決めるべく緊張しあう、蒼の名を持つ二人。

それを止めるのは、やはり蒼の名を持つ者だった。





青神「はい、それまで」

青子「な!?何よ動けないじゃないの」

橙子「チィ、この鳥は貴様の仕業か」

青神「そう、封印の鳥さ。動けないだろ?」

青子「一体如何するつもりなのよ?」

青神「如何するもこうするも、君たち何か勘違いしてないか?」

秋葉「ええ、本当です。ゲームって事をお忘れなのではありません?と言う事でタッチです」

青子・橙子
「「ああっ!!!」」

完全に忘れていた蒼崎姉妹だった。

それにしてもハモル辺り、この二人は仲が良いと思うのだが。









蒼崎蒼子・橙子 捕獲

――――――残り八人









志貴「なんて――――無様」

ああ、少し頭が痛くなってきた。

ん?ちょっと待てよ・・・・橙子さんと琥珀さんが組んだりしたら・・・・・・。

えらいこっちゃで〜

多分今の俺は顔面蒼白だろう。

――――ああ、僕、目の前が真っ暗になって来たよ。

――――暖かいよ、パトラッ○ュ。





志貴、現実逃避しながら――――眩暈で気絶。

チ〜〜〜〜ン

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